男性の泌尿器科疾患
泌尿器科では、男性においては腎臓・副腎・尿管・膀胱・前立腺・尿道・精巣などの診察を行います。その他、男性更年期障害(LOH症候群)やED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)など、男性特有の相談や治療も行っております。
当院では、泌尿器科の専門医が、患者様一人一人に対して丁寧に診療を行います。患者様のプライバシーにも十分に配慮しておりますので、どうぞご安心ください。
このような症状をお持ちの方へ
排尿に関する症状
精巣(睾丸)や
陰のうに関する症状
- 精巣や陰のうの大きさが変化した
(大きくなる・小さくなる・左右の大きさが異なる など) - 精巣や陰のうに痛みが生じる
- 陰のう付近の血管にこぶが生じる
その他
- 健診等でPSA(前立腺特異抗原)の異常を指摘された
- 健診等で尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石ほか)を指摘された
- 尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石ほか)が心配である
- ED(勃起障害)
- 性欲が低下した
- ほてり、のばせ・汗をかきやすくなった
- 体がだるい
- 筋力が落ちた
- 骨密度が低いと言われた
- 骨折しやすくなった
- 頭痛・めまい・耳嶋りなどの症状がある
- 不眠
- 気力がない
- 怒りやすくなった
- イライラする
- 集中力や記憶力が落ちた
- 脱毛、毛が抜けやすくなった
主な男性の泌尿器科
疾患
腎臓の病気
尿路結石症
尿路結石症は、アジアで最も多くみられる泌尿器科疾患の1つであり、腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石が生じる疾患です。症状としては、激しい痛みのほか、血尿・頻尿・排尿痛・排尿障害や、吐き気、嘔吐などを引き起こし、中には腎盂腎炎を併発して38~40℃以上の発熱を引き起こすこともあります。
尿路結石症が疑われた場合には、超音波検査やCTなどを行って結石が生じている場所や大きさ・状態などを確認し、適切な治療へと繋げます。なお、結石の状態によっては自覚症状がないまま結石が尿路に長期間留まって腎機能障害を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
尿路感染症
尿路感染症とは、腎臓から尿道に至る尿路に病原体が感染して起こる疾患で、腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と、膀胱(膀胱炎)・尿道(尿道炎)および前立腺(前立腺炎)などが侵される下部尿路感染症に分類されます。
主な症状は、腎盂腎炎では悪寒・発熱・感染側の腰部痛・吐き気・嘔吐、そして病状が進行すると敗血症も発症します。
症状としては、膀胱炎では排尿時の痛み、残尿感、頻尿、血尿などがみられます。また、尿道炎では排尿時の痛み、頻尿、尿意切迫などの症状がみられます。そして、前立腺炎では発熱・排尿時痛・排尿障害などの症状がみられます。
なお、男性よりも女性の方が尿道が短い・尿道と肛門が近いことなどから、尿路感染症を起こしやすい傾向があります。また、男性の場合でも、前立腺肥大症を発症していると尿路感染症の発症リスクが上昇するという報告もあります。したがって、前立腺肥大症の管理と治療は、尿路感染症の予防にも重要な役割を果たすと言えます。
腎盂腎炎
腎盂腎炎とは、細菌が腎臓に感染して炎症が起こる疾患です。
主な症状は、発熱・腰背部痛・寒気/震え・吐き気/嘔吐・頻尿/排尿時痛などの膀胱炎症状などですが、重症化すると敗血症を発症し、命の危険を伴うこともあるため、気になる症状が現れた際にはできるだけ早めに医療機関を受診し、適切な治療を行うことが大切です。一般的に高齢の方や糖尿病に罹患している方、ステロイドを内服している方などは重症化する可能性が高まるため、特に注意が必要です。
腎嚢胞
腎嚢胞とは、腎臓にできる液体が貯留した嚢状の袋のことを指します。多くの場合は症状がなく、健康への影響もないため特に治療をせずに経過観察で問題ありません。ただ、まれに嚢胞内で出血を起こしたり、感染することがあるため、定期的に検査を行って状態を把握しておくことが大切です。
腎機能障害
腎機能障害は、急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD)の2種類に大別されます。
急性腎障害とは、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。また、慢性腎臓病とは、何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合と定義され、症状が出現することはほとんどなく、蛋白尿(尿検査)や腎機能異常(採血検査)により診断されます。泌尿器科では主に急性腎障害のコントロールを行いますが、急性腎障害は病態により、腎前性、腎性、腎後性に分類されます。腎前性とは腎臓への血流が低下する場合におこり、脱水・血圧低下などで起こります。腎性とは腎臓そのものに障害がある場合であり、血管性・糸球体性・尿細管/間質性などの要因があり腎梗塞・腎炎・薬剤などで起こります。また、腎後性とは尿路の狭窄または閉塞による場合で尿路結石などで起こります。
急性腎障害の症状としては、尿量減少、むくみ、食欲低下、全身倦怠感などが認められます。一方、慢性腎障害の場合は腎臓の働きがかなり低下しないと症状は目立たないため、初期の段階では自覚症状があまりなく、病状が進行するとむくみ、手足がつる、倦怠感、疲れやすさ、皮膚のかゆみ、嘔気、不整脈、息切れなどの様々な症状が現れるようになります。
なお、急性腎障害の場合、腎機能の回復は原疾患や合併症の状況によって異なり慢性腎不全に移行してしまう場合もありますが、速やかに治療を行えば改善を見込めることも多いため早めに医療機関を受診することが大切です。慢性腎障害の場合は、上記の症状が現れた時には病状がすでに進行している状態であることが多いため、治療が困難となるケースが多く見られます
腎臓がん
(腎がん・腎細胞がん)
腎臓がんは、腎臓の細胞ががん化したもので、腎がんともいいます。このうち、腎実質の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものを腎細胞がんといいます。腎臓がんのほとんどが腎細胞がんであるため、一般的に「腎臓がん」とは腎細胞がんのことをいいます。腎細胞がんの発症に関係している特定の要因についてはよくわかっていませんが、喫煙、肥満、高血圧が関係すると考えられています。また、長期間に及ぶ人工透析治療・遺伝との関係も知られています。
初期の段階では自覚症状に乏しく、そのため、小さいうちに発見される腎臓がんは健康診断や、他の病気が疑われたために行うCT・エコー検査などで偶然に発見されるものがほとんどです。進行すると腹部のしこり、背中の痛み、血尿、全身の倦怠感や発熱、体重減少などの症状を伴うようになります。
近年では治療の際にロボット手術が行われることも多く、当院では手術前後のフォローも行っております。
腎盂尿管がん
腎盂尿管がんとは、腎盂にできるがんである腎盂がんと、尿管にできるがんである尿管がんをまとめた言い方であり、この2つは同じ組織型(がんの種類)であり治療法にあまり違いがないため、まとめて「腎盂・尿管がん」として表現することが一般的です。
主な症状は激しい血尿や腰/背中の痛みで、中には排尿の際に血液の塊が出ることもあります。また、がんが尿の流れを阻害するようになると、水腎症を発症して腎機能障害を引き起こすこともあります。
主な発症原因は喫煙が最も重要な危険因子とされていますが、その他に医薬品・慢性感染症・化学発がん物質の曝露・職業性発がん(石油、木炭、アスファルト、タールなど)などがあります。
膀胱の病気
神経因性膀胱
神経因性膀胱とは、神経の異常が原因で起こる膀胱機能の障害です。脳や脊髄などの中枢神経や、脊髄〜膀胱までの末梢神経の経路に異常をきたすことで、尿を貯めたり(蓄尿)、出したり(排尿)する伝達がうまくできなくなります。
主な原因としては、中枢神経系(例:脳卒中、脊髄外傷)、末梢神経系(例:糖尿病性、アルコール依存性、ビタミンB12欠乏性の神経障害、椎間板ヘルニア、骨盤内手術による損傷)、またはその両方(例:パーキンソン病、多発性硬化症、梅毒)が関与する場合があります。
主な症状は尿漏れ、頻尿、尿意切迫、尿意消失などです。
治療では、薬物療法やカテーテル使用などがありますが、治療を行っても改善が難しいケースも少なくありません。
膀胱がん
膀胱がんは、膀胱にできるがんの総称です。膀胱がんの大部分(90%以上)は、膀胱の内部をおおう尿路上皮にできる尿路上皮がんです。尿路上皮がんは、がんが膀胱の壁にどのくらい深くまで及んでいるか(深達度)によって、筋層非浸潤性がんと筋層浸潤性がんに分類されます。主な原因・リスク因子として、もっとも重要なリスク要因は喫煙です。喫煙者は、非喫煙者と比較して2~5倍膀胱がんの発症リスクが高まると言われています。
また、一部の化学染料もリスク要因とされています。その他、シクロフォスファミド・フェナセチン含有鎮痛剤の連用、膀胱の慢性炎症などが知られています。
症状としては、赤色の尿が出ることや、頻尿・排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状が最も一般的です。また、がんが進行すると、尿が出にくくなったり、わき腹や腰・背中が痛んだり、足がむくんだりすることもあります。
膀胱がんは、病状が進行すると膀胱全摘術などが必要になることもあり早期発見・治療が重要となりますので、痛みがない、あるいは一度きりで血尿がなくなったからといって自己判断せず、できるだけ早い段階で当院までご相談ください。
前立腺の病気
前立腺は、膀胱の下辺りにある尿道を取り囲むように位置しています。前立腺は男性ホルモンの影響を受けて発育し、精子に栄養と活動性を提供する前立腺液を分泌する働きがあります。
前立腺肥大症
前立腺肥大症とは、前立腺が肥大化して周囲の膀胱や尿道を圧迫し、頻尿・尿の勢いの低下など様々な排尿障害を引き起こす病気です。主な原因は加齢で、中高年になって排尿障害が起きた場合には、前立腺肥大の可能性を考えます。
急性前立腺炎
急性前立腺炎とは、何かしらの原因によって前立腺が炎症を起こす病気です。主な症状は発熱や頻尿、排尿困難、排尿痛などが挙げられ、進行して重篤化すると尿が排出できなくなる尿閉を引き起こすこともあります。
急性前立腺炎の検査では血液検査、尿検査や直腸診で前立腺の圧痛や熱感の有無などを確認します。
主な発症原因としては細菌感染であり、治療は抗生物質の投与を中心に行います。ただし、治療によっていったん症状が落ち着いた際に自己判断で治療を中断してしまうと症状が再燃する恐れがあるため正しく治療することが大切です。
なお、重症化した場合には入院治療が必要になるため、その際には当院と連携している高次医療機関をご紹介いたします。
慢性前立腺炎
慢性前立腺炎とは、原因が明確には解明されていない前立腺の病気です。急性前立腺炎が適切に治療されなかった場合に移行することがあるほか、血行不良やホルモン異常、会陰部の圧迫、精神的ストレス、疲労、喫煙、飲酒などが要因と考えられています。
症状としては、発熱や排尿障害を起こす急性前立腺炎と異なり、下腹部や会陰部の違和感や痛みを始め様々な症状が起こり得ます。
検査では、尿路系・消化器系などに異常がないかを調べ、明らかな異常が見つからない場合には慢性前立腺炎の可能性を考えます。
また、診断・治療に難渋することが多い疾患としても知られています。
前立腺がん
前立腺がんは泌尿器科領域で最も多い悪性疾患で、2020年のがん罹患数は、男性では前立腺がんが最多でした。初期の段階では自覚症状に乏しいために本人も気づかないことが多く、進行すると排尿障害ほか様々な症状を引き起こし、血尿などが見られることもあります。
前立腺がんを早期発見するにはPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカー検査が有効なため、近年では健康診断や人間ドックなどで発見されるケースが多く見られます。また、前立腺がんの発症原因には遺伝的要因が関与しているとも言われているため、血縁者の中に前立腺がんや乳がん、卵巣がんなどに罹患歴がある方がいらっしゃる場合には注意が必要です。なお、父親か兄弟の1人が前立腺がんである場合、罹患率は2倍になるといわれています。
前立腺がんは加齢に伴って罹患率が上昇し、特に50歳を超えるとリスクが高まるため、50歳になったら年1回のPSA検査をお勧めします。当院でもPSA検査を実施しております。
精巣や陰のうの病気
精巣上体炎
精巣上体炎とは、主に尿道や前立腺から侵入した病原体が精管を通って精巣上体が炎症を起こす感染症です。主な症状としては陰のう内部の腫れや痛み、発熱などが挙げられます。主な原因としては、大腸菌感染のほか、淋菌やクラミジアなど性感染症を引き起こす病原体によるケースも多く見られます。
また、精巣上体炎が重症化した場合には入院治療が必要になりますので、気になる症状が現れた際にはできるだけ早めに医療機関を受診し、適切な治療を行うことが大切です。なお、入院加療が必要な際には高次医療機関をご紹介いたします。
精巣がん(精巣腫瘍)
精巣がんは10万人に1人程度に発症する比較的珍しいがんで、主に若年層に多く見られる傾向があります。初期症状はほとんどなく、精巣の腫れ、しこり、硬結、左右の精巣の大きさが異なるなどで気づくことが多いとされます。中には下腹部の違和感や鈍痛、精巣痛を引き起こすこともあります。
精巣がんは早期発見・治療によって高い治癒率が期待できる病気であるため、気になる症状が現れた際にはできるだけ早めに医療機関を受診することが大切です。なお、精巣がんを発症した場合には、年齢によっては将来的な妊娠の可能性を維持するために精子凍結保存などを行うこともあります。
その他の病気
尿失禁
尿失禁は、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられ、40歳以上の女性の4割以上が経験してしますが、羞恥心により我慢されている方が多いと言われています。また、尿失禁は、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁(UUI)、溢流性尿失禁、機能性尿失禁に分類されます。
腹圧性尿失禁は、重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう尿失禁です。また、切迫性尿失禁は尿がしたくなるとトイレまで我慢できずに漏れてしまう尿失禁です。そして、溢流性尿失禁とは尿が出しにくいことが原因で尿が膀胱からあふれて出てしまう尿失禁であり、尿が出にくくなる排尿障害が必ず併存します。排尿障害を起こす代表的な疾患には前立腺肥大症がありますので、溢流性尿失禁は男性に多くみられます。機能性尿失禁とは、身体運動機能や認知機能など精神機能の低下により起こる尿失禁です。
治療法は尿失禁のタイプにより異なりますが、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁では骨盤底筋体操や行動療法、薬物療法、体重コントロール、手術療法などによって改善を図ります。
男性更年期障害(LOH症候群)
男性更年期障害は、加齢と共に男性ホルモンであり、身体中の多くの臓器に影響を及ぼす重要なホルモンであるテストステロンが減少することによって起こる様々な症状のことを指します。主な症状は、身体症状として、筋力低下・疲労感・ほてり/発汗・頭痛・めまい・耳鳴り・性機能低下・朝立ちの消失などが見られ、精神症状として不安・いらつき・不眠・集中力の低下・記憶力の低下・性欲の減少などが見られます。
男性更年期障害が疑われる場合には、問診表や血液検査での男性ホルモンの量の測定などによって診断します。男性更年期障害の症状は男性ホルモンが低下することで起こるため、足りない男性ホルモンを補充することによって症状の改善を期待することができます。 患者様によっては、治療開始後まもなく劇的に症状が改善します。
気になる症状が現れた際にはお気軽に当院までご相談ください。
性感染症
性感染症(STI)とは、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ及び梅毒など、性的接触を介して感染する可能性がある感染症を指し、性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。
性感染症は、かゆみや痛みのような症状が問題であるだけではなく、感染症の種類によっては、治療を行わなかった場合、不妊の原因となったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることもあります。また、粘膜が傷つくことによりヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染しやすくなるなど、他の感染症に罹りやすくなることもあります。
特に、生殖年齢にある女性が性感染症に罹患した場合には、母子感染(母親から赤ちゃんへの感染)により、先天性の体の障害の原因となり、放置すると障害が残る可能性もあります。
性感染症の症状は、排尿痛、尿に膿が混じる、残尿感、性器のできものなどが挙げられますが、中には自覚症状がないことも多々ありますので不安に感じたら検査を受けることが大切です。また、同じ病気でも男女によって症状が異なることもあるため、ご自身が性感染症と診断された場合はパートナーに症状が現れていなくても、念のため検査を行っておくことが大切です。
尿道炎
性感染症としての尿道炎とは尿道が炎症を起こす疾患です。クラミジアや淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどが原因で発症するケースが多く見られます。
主な症状は、男性の場合では排尿時の痛みや違和感、尿に膿が混じるなどが挙げられます。ただし、クラミジアが原因菌である場合には自覚症状が現れないこともあり、本人も感染していることに気づかずにパートナーへ感染を拡大させてしまう恐れもあります。妊婦がクラミジアに感染すると流産や早産の原因になることがあり、また、分娩時の産道感染では新生児に結膜炎や肺炎を起こすこともあり注意が必要です。従って、クラミジアに感染していることが発覚した際にはパートナーも検査を受けて状態を確認し、完治するまでは性行為を控えることが大切です。